信託保子さん(75歳)は賃貸マンションを所有しており、その一室を自宅として一人で生活しています。
また、若いときから始めた株を持っており、しっかりした運用をしてきたため、貯金もできました。
保子さんの身内は、長男の邦夫さん(40歳)と次男の貞夫さん(35歳)です。
次男の貞夫さんは、アメリカに移住しており、日本にはめったに帰ってきません。
長男邦夫さんは奥さんと長女と共に、近くに住んでいて、時々保子さんの身の回りの世話をしています。
保子さんの心配事(希望)
・不動産業者に任せてはいるが、不動産業者との打合せや、新規に契約締結、大修繕、立ち退き交渉、
売却 等のマンションの管理がいつまでできるか不安である。
・株の管理もいつまでできるか不安である。
・自分に代わって長男(邦夫)にマンション管理や株のことを任せたい。
・自分が亡くなったあとは、長男に遺産を譲りたいけど、次男と遺産争いにならないか不安である。
保子さんの財産
・賃貸マンション
・預貯金、株
・年金
このまま、何も対策をしなかったらどうなるでしょうか?
✅ 保子さんが認知症になったら、マンション管理、株、預貯金などの資産が凍結されてしまう。
✅ 特に、マンションは不動産業者との管理契約も更新できず、無管理状態になってしまう。
✅ 自分が亡くなった後の遺産分割の話し合いがまとまらない。
そこで、遺言と民事信託、成年後見を併用した対策をします。
委託者を保子さん、受託者を邦夫さん、受益者を保子さんとした信託契約を締結します。
ここで、保子さんの遺産全部を信託するのではなく、次男(貞夫さん)に譲るお金を除いておきます。
信託契約の内容は、
・信託目的:信託財産の適切な管理・運用・処分によって、保子さんの幸福な毎日を送ることができると共に、
保子さん財産を後世に承継させること
・受益者は、保子さん
・信託財産:賃貸マンション、預貯金の一部、株
信託契約を結ぶことによって、マンションや株のことは、受託者である邦夫さんに任せることができます。
次男(貞夫さん)のことが気にかかれば、財産として除いた預貯金の一部を貞夫さんに相続させるという遺言を作っておきます。
これで、貞夫さんの遺産争いの心配がなくなります。
もしご自身のことが不安であれば、認知症になったときには、邦夫さんに成年後見の申立をしてもらいます。
成年後見人がいれば、施設への入所もスムースにすることができます。